桐生タイムス_20120112 | “しょうゆ観光工場”へ 「大間々まちなか観光の拠点に」

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“しょうゆ観光工場”へ 「大間々まちなか観光の拠点に」

2011-12-29

 天明7年(1787年)、大間々の地に創業した醤油(しょうゆ)醸造業の岡直三郎商店が、年明けから保存再生工事に入る。8代目の岡資治(としはる)社長(53)が「昔ながらの木桶(きおけ)仕込み、天然醸造の工場を見てもらいながら、店舗で直売して売り上げを出し、維持したい」と決断したもので、近江商人の「三方良し」の理念通り、歴史的な蔵とレンガ煙突の景観を生かして大間々のまちなか観光拠点としても寄与していく。
 みどり市大間々町中心街にある岡直三郎商店は約3000坪の敷地があり、先に解体した木桶の杉板を敷いて整備された約40メートルの「河内屋木道」沿いだけでも、通りに面した店舗から奥の仕込み蔵まで、たくさんの建物が入り組む。江戸時代に創業してから建て増しを続けてきて、建築年代も定かではないという。
 東日本大震災ではレンガ煙突の上部が崩れるなどしたが、それ以前から雨漏りがひどく、「建物は待ってくれない、一刻を争う状態。私は“当たり年”なんです」と、岡社長。滋賀県日野町の生まれで現在は本社のある町田市在住、大間々は月に2回来る程度で支配人に任せていたが、代替わりし、まちづくり団体「三方良しの会」の活動にもかかわるようになった。ぐんまデスティネーションキャンペーンで観光客が増えたことも、背中を押した。
 実は3年前から、桐生市本町二丁目の矢野園など、古民家再生に実績のある桐生市仲町一丁目の建築設計事務所吉左右(一柳宿さん・邦子さん)と協議していた。一柳さんは「ここで働く人たちも建物に愛着を持っている。有形文化財として登録も考えているので、積み重ねてきた年代を感じられるよう雰囲気を保ちつつ、快適で使いやすい住環境にしたい」と模索を重ねてきた。
 再生プランによると、通りに面した店舗は吹き抜けにし、奥に昔の炊事場や煙突を見せる。隣は事務室で、厨房(ちゅうぼう)をはさんで元支配人室の和室が10畳、奥座敷10畳。2部屋の外に廊下がまわり、帳場との境には電話室や金庫室も。箱階段を上がると2階はかつて社長が近江から訪れた際の居室だ。
 1階の工事床面積は142平方メートル。既存の柱や建具を可能な限り使い、将来に残し伝える。「明治の大間々大火に耐えた建物か、それ以後か、工事で屋根瓦を下ろし梁(はり)も見えるので、建築年代が特定できるでしょう」と一柳さん。小売店舗としての機能に加え、和室部分は観光客の休憩や地域の交流の場としても役立て、醤油を生かしたレストランも構想している。
 岡社長は「一企業では工事費を回収できるかどうかわかりませんが、建物がだめにならないよう保存再生し、地域の役にも立ちたい」と語る。工事は年明け早々に開始、大型連休にリニューアルオープンの予定だ。