桐生タイムス | 黒保根町の古民家再生 西町ISの体験施設に

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黒保根町の古民家再生 西町ISの体験施設に

2011-6-17

 山間の明治時代の古民家が、引き移転を経てよみがえった。桐生市黒保根町鹿角にある西町インターナショナルスクール(IS)新井領一郎キャンプで、既存の洋風ロッジと渡り廊下でつながれ、日本文化・自然体験施設として活用される。改修再生プロジェクトを手掛けたのは桐生市仲町一丁目の建築設計事務所吉左右(一柳宿さん・邦子さん)。「これでまた100年持ちます」と話している。
 西町IS(東京都港区)の創立者松方種子(1917〜89年)は黒保根出身の絹貿易商新井領一郎の孫にあたり、姉はハル・ライシャワー元駐日大使夫人。ハルはここで疎開生活を送り、終戦を鹿角の新井家の土蔵で迎えている。種子はアメリカから帰国後、空襲で焼け残った元麻布の邸宅を校舎として47年にISを開校した。
 自然環境豊かな黒保根の小・中とは姉妹校提携を結んで交流を続けており、研修施設は旧新井家の敷地にある。古い建物は土蔵だけで、90年に建設したロッジを合宿に使っているが生徒数が増えて手狭になったため、隣接の土地と建物を取得。古民家再生に実績のある一柳さん夫妻に依頼して、昨年から工事が行われていた。
 かやぶき屋根や壁、床を落として構造だけになった家は、川島組(桐生市梅田町二丁目)が引き移転しコンクリートの基礎の上にのせた。大黒柱はクリ、柱にはケヤキやスギも使われ、梁(はり)はマツ、土間には自然に湾曲したケヤキと、まさに適材適所。「持ち山から切り出した木をうまく組み合わせたのでしょう。通し柱4本が全部違った継ぎ方になっているのも強度を考えてのことか。全体の80%は元の材です」
 土間から田の字形に8畳2間と10畳2間があり総吹き抜けのダイナミックな空間が広がる。屋根は鋼板ぶきに、しっくい調の白壁とふすま、ガラス戸、水まわりなどは新調だが、古材の虫食い跡もすべて洗い出して塗り込め、ひび割れは「芯持ち材は割れるもので、問題ない」と一柳さん。造ろうとして造れない自然の造形が都会の多国籍の子どもたちを包み込んでくれそうだ。 
 前庭にはモミジを移植、クローバーを敷き詰めて、8月に完成記念式が予定されている。