桐生タイムス | 東京の編集人が桐生でも取材 「月刊のこぎり屋根」創刊へ

きょうの夕刊

東京の編集人が桐生でも取材 「月刊のこぎり屋根」創刊へ

2010-2-4

 また一人、ノコギリ屋根工場に魅了された人がいる。谷根千工房編集人の山崎範子さん=東京都文京区=は「月刊のこぎり屋根」の年内発刊を目指し、活動を始めた。日本を支えた繊維産業を象徴する全国の工場を取材し、地域の歴史とともに本にまとめることで伝え残そうと考えた。年内の発刊を目指しており、桐生にも取材に訪れている。
 台東区谷中、文京区根津と千駄木は都心でありながら、下町の情緒を色濃く残すエリアとして知られる。山崎さんは仲間2人とともに1984年10月、地域雑誌「谷中・根津・千駄木」を創刊。この地に暮らす人々の生活や記憶を記録し続けてきた。
 一帯が雑誌の略称である「谷根千」として認知される上でも大きな役割を果たした同誌は昨年8月の第94号で終刊。山崎さんが次の題材に選んだのがノコギリ屋根工場だった。
 関心を向けるきっかけは谷中に残る1910年(明治43年)築の5連の元リボン工場。「山手線の内側に残っているのは奇跡」と感銘し、桐生ほか全国のノコギリ屋根工場の撮影を続ける写真家・吉田敬子さんとの出会いが気持ちを後押しした。昨年10月、念願かなってこの工場で吉田さんの写真展を催し、自らの思いを記した「月刊のこぎり屋根0号」を配った。
 目指すのはただの工場紹介ではない。谷根千で培った手法を生かし、工場の歩みをまちの記憶とともに残していく。山崎さんは「制作費を支援してくれる織物工場を探し、半年や1年まちに滞在しながらその会社の社史をつくるつもりで本を出していきたい」と話す。
 副題は「蚕糸を旅する」。1月中旬に愛知県一宮市の起(おこし)地区、同月末に桐生を訪れた。第1号発刊に向け、忙しく駆け回っている。