桐生タイムス | カッコソウ増殖、鳴神山へ移植 桐高生物部

きょうの夕刊

カッコソウ増殖、鳴神山へ移植 桐高生物部

2009-12-11

 絶滅危惧(きぐ)種カッコソウの培養と移植に、県立桐生高校生物部(小島靖夫顧問、藤田慧部長)が取り組んでいる。サクラソウ科の多年草で春に美しい花を咲かせるカッコソウは、桐生市北部の鳴神山(980メートル)を唯一の自生地とするが、生育環境の変化や盗掘などで激減している。生徒たちは5日に登山して、増殖した株を移植した。根付いて冬を越し、来春に花が咲くことを楽しみにしている。
 桐高はSSH(スーパーサイエンスハイスクール)の指定を受けており、その一環として科学技術を利用して地域に貢献しようと、生物部ではカッコソウの増殖を手掛けることにした。きっかけは課題研究の受け入れ機関となっている桐生市水道局の齋藤陽一局長の依頼。鳴神山への移植は市民団体カッコソウ保存会(朝倉陽一代表)が約20年にわたって継続しているが、地元高校の協力を希望したものだ。
 桐高では「人工気象器」などをSSHの予算で購入し、3月末に山野彊さん(元中之条高校教諭)の指導を受けて取り組みを開始。「農業高校ならお手の物でしょうが、すべて手探り。1年生が6人入り、まじめな子ばかりなのでやってこられました」と小島教諭。
 山野さんに提供してもらった株はフラスコ6本分で、それを無菌室で慎重に株分け。温度23度、1日16時間明るく8時間暗くなる人工気象器内で培養。7月にフラスコから出して土づくりをしたプランターに植え替え、外界へ順化させた。
 そしていよいよ自然界へ戻すことに。土を落として株を160ほどに分けて準備。参加できた生徒は男子2人と教諭2人だったが、保存会の二渡忠さんの案内で移植地に登り、斜面にていねいに植える作業を行った。齋藤局長も夫妻で川内側から登り、「桐生高校生物部カッコソウ移植地」の看板を立てるなど活動を共にした。
 初めての鳴神登山に藤田部長は「滑って大変だった。頂上は寒かった」。やはり初登山の青山逸勢(はやなり)さんは「達成感があった」と振り返る。他の部員も山の様子を知らないし、花は「写真でしか見たことがない」ということで「来年の春が楽しみ」。校内各所にも比較研究用のプランターを置いたが、室内から山中へと目標ができ、美しい花に気持ちも高まる。
 小島教諭は「環境ボランティアとして継続したい」と語り、二渡さんらも「登山者のマナーはよくなったし、喜んでもらえるでしょう」と歓迎する。カッコソウの群落が増えて、自然界で結実するようになることが夢である。