きょうの夕刊
職安詐欺事件 前田被告に猶予付き判決
2009-10-28
公共職業安定所を舞台に、求職者の住民票を悪用して他人名義の預金通帳をだまし取った事件で、詐欺などの罪に問われた元前橋職安職員、前田正博被告(44)=桐生市西久方町、懲戒免職=の判決公判が28日午前、前橋地裁桐生支部であった。野口忠彦裁判官は「公務員の地位を利用し、計画的かつ大胆で悪質」などと犯行を非難する一方、詐取した通帳が実際には使われなかったことなどを踏まえ、被告に懲役3年、執行猶予5年(求刑・懲役4年)の有罪判決を言い渡した。
判決などによると、前田被告は4月29日ごろ元勤務先の桐生職安から桐生市民らの住民票の写し6通を盗み、それを利用して5月13日から20日までの間、桐生、みどり、足利3市内の金融機関で預金申込書などを偽造し、計7通の通帳を詐取したとして、詐欺と窃盗、有印私文書偽造、同行使の罪に問われた。
野口裁判官はこれらの事実を認定した上で、「早期に退職して体が動くうちに遊びたいと考え、その生活資金に中小企業緊急雇用安定助成金をだまし取ろうと計画し、その準備として、受給に必要な口座を開設したもので、その動機は身勝手きわまりなく、反社会性が高い」と断じた。
犯行態様についても「公務員の地位を利用し、短期間に7カ所の金融機関で通帳を詐取したもので、計画的かつ大胆で悪質」と非難。振り込め詐欺など他人名義の口座を悪用した犯罪が多発していることにも触れ、「住民票は社会的信頼性が高い書面であり、やったことの影響は財産的損害以上に大きく、刑事責任は重い」と述べた。
一方、犯行は同助成金を不正受給する準備段階にとどまり、通帳が悪用されずに済んだことや口座名義人らに謝罪文を書いたことなどを酌み、執行猶予を付けたとした。
紺のスーツにネクタイ姿の前田被告は、判決を伝える野口裁判官の言葉を、時折「はい」とうなずきながら聞いた。弁護側は判決後「よく考えてもらった判決。二度起こすような犯罪ではない」と述べ、控訴しない方針を示した。

ホーム
HOME
前のページへ