桐生タイムス | 乗り越えるために

ぞうき林

乗り越えるために

2011-12-30

 2011年が終わるまで残り1日。2000年代に入り、慢性的な不況やリーマン・ショックなど苦難に満ちた年が多かったが、3月11日に東日本大震災が発生した今年ほど大変な年はなかったというのが、大多数の実感だろう▼地震と津波は大勢の人の幸せを奪った。2万人に迫る死者・行方不明者を出し、100万戸を超える建物が損壊した。命こそ助かったものの、あの日を境に穏やかな暮らしが一変してしまった人がたくさんいる。発生から9カ月以上が経過し、過去の話になりつつある雰囲気も漂うが、むしろ本格的な復興のために多くの力が必要となるのはこれからだということを忘れてはいけない▼震度6弱を記録した桐生もまちを見渡せば、文化財の有鄰館や絹撚記念館など、修復中の建物がいまだ残る。地震から数カ月して崩れた家屋もあった。当地も被災地と言えなくもないが、そうした中にあって、多くの個人や団体が震災直後から浄財を日本赤十字などを通じて寄付したり、東北地方に赴いて直接支援を行ったりと、人々の志の高さを改めて実感した年でもあった▼差し伸べられた手のぬくもりは、懸命に生活を立て直そうとしている人たちの心に届いている。市民レベルでの支援を継続しつつ、原発事故の後始末や東電の処理などには「喉元過ぎれば熱さを忘れる」ことなく、厳しい目を向け続ける必要がある。(悠)