ぞうき林
泥だらけの勲章
2010-3-1
野球ならダイビングキャッチ、サッカーならダイビングヘッド。その表現では少しスマートすぎるかもしれない。相手はどこへ弾むか分からない楕円球。地面を転々とするボールを真っ先に確保するため、両手足をめいっぱい伸ばして頭から飛び込んでいく▼プレーの名前は「セービング」。相手と正面衝突することもあれば、頭を蹴られる危険だってある。そんな恐怖に打ち勝つほどの責任感がゆえに尊敬されるプレー。雨上がりでぬかるんだグラウンドで、顔じゅう真っ黒にしながらの泥臭いセービングが勝敗を分けた▼三洋電機が3連覇を決めた2月28日のラグビー日本選手権決勝。劇的な逆転勝利を呼び込んだのは、やはり桐生出身・在住の霜村誠一主将だった。12点のリードを許して迎えた後半、残り20分で飛び出したビッグプレー。飯島均監督は「霜村のセービングがみんなのハートに火をつけた」と勝因を解説した▼約1カ月前に惜敗したトップリーグ決勝では、無念のインフルエンザ欠場で病床からテレビを見つめるだけだった霜村主将。期するものがあったのだろう。3連覇の気持ちを聞かれ、「今年が一番難しかった。辛かった」と振り返った▼「チームメートを誇りに思うし、感謝している」「厳しい試合の中、最後まで(気持ちが)切れなかった。みんなを尊敬している」。そう語る霜村主将にとっては、どんなトロフィーやメダルより、仲間と同じ泥だらけの顔が最高の勲章だったに違いない。(針)

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