桐生タイムス | 続まち校閲隊

ぞうき林

続まち校閲隊

2010-2-18

 久しぶりに両毛線に乗って、岩宿駅で目を凝らした。正月号「わがまち校閲隊」で紹介した史跡文化財案内板があるからだ。右手は工事中で確認できなかったが、左手の案内板は訂正されていた。よかったね、郷土の偉人「岡上景能公」▼粗探しをしているわけでなく誤字脱字書き間違いなどが視界に入ってくるのは、職業病の一種か。先日は世界遺産候補「富岡製糸場と絹産業遺産群」に関する国際学術会議に招かれた専門家たちの視察に同行して、新たな発見があった。出発点の有鄰館、真新しい案内板に目を留めた教授が疑問を発したのだ▼「ここに鉱山があったのか」と。指さしたのは明治23年の銅版画の部分で「SAUCE AND MINE」とある。近くにマンガン鉱山があったけれど…、首をかしげるうちに誰かが「WINE」の間違いだと気づいた。つまり「醤油と清酒」。イタリアとポルトガルの両氏は他のスペルもチェックして肩をすくめて見せた▼桐生で発見され一括で県重要文化財に指定された幕末明治の才人才女、島霞谷・隆夫妻の遺品にも、あやしい手作りカルタがある。「SMOKI(ケムリ)」とか「SPING(井ド)」とか。これは当時の真摯な外国語受容過程を示す資料であり愛すればこそ、責めるべきではない▼有鄰館の案内板も、誤解なきよう一言あればいいわけだ。今後どんどん観光用看板が増えるらしいわがまち、「校閲隊」の活躍の場は印刷製作の前にこそほしい。(流)