桐生タイムス | 温かな情報

ぞうき林

温かな情報

2010-2-16

 桐生朗読奉仕会の45周年記念式典の取材に訪れた。目の見えない人々のため、録音図書などを製作し、音声情報を提供する同会。まだ駆け出しの記者だった10年前、取材させてもらった縁があり、懐かしい顔に出会えてうれしかった▼当時、朗読ボランティアの心構えとして聞いたのは「感情を込めすぎないこと」。読み手の強い思いは時に物語の進行を妨げてしまう。詩の朗読テープを聞き、「文字の方がイメージが膨らむ」と反発した高校時代を思い出した▼NHKの番組「プロフェッショナル」で以前、ホームページの音声読み上げソフトを開発した研究者、浅川智恵子さんを取り上げていた。中学の時に事故で失明するも、不断の努力で日本人で3人目となるIBMフェローになった女性。視覚障害者だけでなく、高齢者や貧困などで字の読めない人が情報弱者とならないよう取り組む姿勢に感動を覚えた▼ただ、ソフトの声は無機質で、小説などを楽しむには耳に厳しいだろうと感じた。点字図書館の録音図書は著作権の関係から視覚障害者しか借りることができない。しかし、高齢化社会が進む日本ではより多くの人がこの音声情報を必要とする時代が来るだろう。本のネット閲覧も解禁が近いのではないか▼そんなことを考えた矢先、人気漫画が雑誌発売日前にネットに違法投稿されているというニュースを知った。利便性とモラル。情報化社会を生きる現代人につきまとう難問である。(野)