桐生タイムス | 安全神話などない

ぞうき林

安全神話などない

2010-1-23

 群馬大学助教の金井昌信さん(33)は昨年1月、訪問先の中米コスタリカでマグニチュード6・2の地震に遭遇した。慌てて戸外へ逃げたが、周りを見ると、避難したのは自分と、防災研究の第一人者である“師匠”の片田敏孝教授の2人だけ。激しく揺れる建物の中で、当地の人々はただ狼狽するばかりだったという▼「被災したときにどう対応するか。教育の違いを感じましたね」。突然襲う地震から身を守るための行動は、日本では保育園でも「机の下に潜りなさい」という形で教育されている。「地震の一時避難はせいぜいこれだけ」と金井さん。建物や家具の倒壊からとりあえず身を守る、この初歩的な対応が生死を分けることを、私たちは15年前の阪神・淡路大震災から学んだ。そして6434人の犠牲を払って得た教訓が、住宅の耐震化だった▼だが、知識と行動はなかなか伴わない。内閣府が21日発表した「防災に関する特別世論調査」によると、住宅の耐震補強を「するつもりはない」人が4割、「いずれは」という人を含め6割の人が「予定がない」と答えた。理由は「お金がかかる」が51%、「必要性が実感できない」が22%。ならば「まずは寝室や居間の家具を固定するなど、自宅内の安全点検を」と金井さんは力説する▼コスタリカの地震から1年後、今度はハイチで甚大な被害が出た。金井さんは断言する。「桐生は安全だなんて、そんな神話はありません」(成)