ぞうき林
かたちをつくる
2010-1-4
年明け、最初のコーヒーをおとす。深めにいったコーヒー豆を電動ミルでしっかりとひく。円錐形のペーパーフィルターをドリッパーにセットし、ひいた豆を入れて平らにならす。沸騰した湯を、注ぎ口の細いポットに移し、ならした豆の中心部に向けてゆっくりと注ぐ。しばしの間。やがてガラスサーバーに褐色の滴が落ち、香りが立つ▼おいしいコーヒーをいれたい。その参考になればと、喫茶店のマスターやコーヒー豆の販売店のご主人など、さまざまな人の話に耳を傾けた。現在に至るまでの、各人の試行錯誤の過程が垣間見え、興味深く聞き入ってしまう。豆のいり方、量、ひき方、湯の温度、注ぎ方、どんな道具を使うのか…。うんちくは多彩▼ただ、それにも増して大事なのは、彼らが仕事として繰り返す、日々の一定作業なのだろうとも思う。同じ手順を繰り返す中で、彼らは一つのかたちを身につける。かたちが身につけば、豆のいり方や量、ひき方といった各要素に変更を加えつつ、味と香りの変化に気づき、原因を探り出すことができるはず▼毎日の仕事で獲得される“習慣”こそ、人が“壁”にぶつかったとき、それに耐え、乗り越える力になると、年の瀬、ラジオ番組に出演した作家の大江健三郎さんが、ある方の言葉として紹介していた。仕事ばかりでなく、毎日の生活の所作にも、そんな力があるのではないかと思った次第。謹賀新年、2010年もよろしくお願いします。(け)

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