桐生タイムス | 針、糸、ミカン

ぞうき林

針、糸、ミカン

2009-12-22

 子どもたちの冬休みが始まる。家族で大掃除をしたり、お正月には親戚と久しぶりに顔を合わせたり。昭和36年生まれの記者にはそんな非日常の記憶が冬休みにはある▼年が明けると、母の実家にあいさつに行くのがわが家の習わしだった。父が車を運転して小一時間。行くと、2、3歳上の従兄弟とよくあそんだ。養蚕もしていた農家。鶏や牛がいて、コイを飼っている池もあって、家のすぐ隣は桑畑だった▼家の中では、数人分のふとんをごちゃごちゃに重ねて、怪獣ごっこをしたり、押し入れの上段から飛び込んで遊んだ。ウルトラマンや怪獣になった気分を味わい、遊園地のジェットコースターのように爽快だった。まさに、はしゃいで遊んだ▼こたつにあたりながら「ミカン釣り」もした。裁縫箱から糸を通してある針を持ってきて、それをみかんにピッと投げて刺し、糸の端を握ってミカンが持ち上げられれば成功。そんな単純な遊び。風邪を引いてしまってあばれられなくても、取っ組み合いのできない女の子でもできる。緑色のへたの近くが固いため、その辺りを狙うのがコツだった▼糸をつまんだ親指と人さし指から、しだいにミカンの重さが伝わってくる。外れてしまわないかドキドキ、ワクワク。体いっぱいに感じるジェットコースターとはまた違うスリルがあった▼モーターの振動で釣りのようなゲームができる携帯電話はなくても、針と糸とミカンがあれば。(な)